アルバイト・パートの雇用契約書を電子化する|大量採用の運用

繁忙期を前に数十名のアルバイトを採用し、雇用契約書を一人ずつ印刷して手渡し、署名をもらって回収する。契約期間が満了すれば、同じ人たちの更新がまとめてやって来る。アルバイト・パートの雇用契約書は電子化できますが、効果が出るかどうかは運用の組み方で決まります。この記事では、大量採用と契約更新を電子で回すための運用を、スマートフォンでの署名、一括送信とリマインド、パート・有期の明示事項の順に整理します。
この記事のポイント
- アルバイト・パートの雇用契約書も、正社員と同じく電子化できる。労働条件通知書を電子で交付するには本人の希望が必要
- 人数が多い会社は、テンプレート・一括送信・リマインドを組み合わせ、受け取る側がスマートフォンだけで署名を終えられる形にする
- パート・有期では昇給・退職手当・賞与の有無なども明示する。有期契約は更新のたびに明示が必要なので、満了日でまとめて送り直す
アルバイト・パートでも雇用契約書は電子化できる
アルバイト・パートの雇用契約書も、正社員と同じく電子化できる。法令は雇用形態で区別しておらず、労働条件通知書は本人が希望すれば電子メール等で交付できる。
雇用契約書の作成は法律上の義務ではなく、会社に義務づけられているのは労働条件の明示です。労働条件通知書は書面の交付が原則ですが、労働者本人が希望し、出力して書面を作成できる方法であれば、電子メール等で交付できます(労働基準法施行規則5条4項。e-Gov 労働基準法施行規則)。この扱いは、正社員かアルバイトかで変わりません。
法的な根拠と電子契約の効力は「雇用契約書は電子化できる?法的根拠と導入手順」、本人の希望の取り方とメールの文例は「労働条件通知書をメールで交付する方法」で解説しています。この記事は、人数の多いアルバイト・パートの採用で、電子化をどう回すかに絞ります。
大量採用で紙の手続きが詰まる3か所
採用人数が多いと、紙の手続きは①人数分の書類作成 ②配布と回収・催促 ③契約更新の集中 の3か所で詰まる。いずれも人数に比例して作業が増える。
1人分なら数分で終わる作業も、数十人分になると担当者の時間を大きく取ります。アルバイト・パートの採用では、次の3か所に作業が集中します。
- 書類の作成: 氏名・時給・勤務日などを人数分記入し、2部ずつ印刷する。記入漏れや転記ミスもここで起きる
- 配布と回収: 店舗や現場で手渡し、署名済みの1部を回収する。シフトが合わず会えない人への催促が続く
- 契約更新: 契約期間が同じ時期に満了する人が多く、更新の書類作成と回収がまとめて発生する
電子化すると、作成はテンプレートで、配布と回収は一括送信とリマインドで、更新は対象者へのまとめた送り直しで進められます。人数が増えても、担当者の作業が人数に比例して増えにくくなります。
スマートフォンで署名まで完結させる
アルバイト・パートの電子化は、本人がパソコンやプリンターを持っていない前提で設計する。署名依頼をスマートフォンで受け取り、確認から署名まで終えられる形にする。
書類を電子に置き換えても、受け取る側がパソコンで開く前提だと、回収は早くなりません。電子契約サービスを選ぶときは、受け取る側がスマートフォンの画面で内容を確認し、そのまま署名できるかを確かめてください。Digital Sign では、受け取る側はスマートフォンの画面で内容を確認してそのまま署名でき、費用もかかりません。
運用の面では、次の3つを採用の段階で決めておきます。
- 宛先: Digital Sign の署名依頼はメールで届きます。応募や採用の時点で、本人がスマートフォンで受信できるメールアドレスを確認しておきます
- 本人の希望: 労働条件通知書を電子で受け取ることを本人が希望したかを確認し、記録に残します。希望しない人には書面で交付します
- 控えの保存: 締結した書類をPDFで保存・印刷できることを本人に伝えます。出力して書面を作成できることは、電子で交付するための要件の1つです
希望の確認は、内定の連絡や採用時の案内メールに選択肢を入れておくと、人数が多くても漏れません。確認メールの文例は「労働条件通知書をメールで交付する方法」に載せています。
一括送信・リマインド・テンプレートで回す
人数が多い会社は、テンプレートで書類を作り、同じ内容の書類は一括送信で配り、未署名の人にはリマインドを送る。担当者は未署名の人だけを追えばよくなる。
Digital Sign では、次の機能で大量の送信と回収を進められます。一括送信・一括リマインド・雛形(テンプレート)からの契約書作成は、有料プラン(ライト・スタンダード)の機能です。
| 機能 | できること | 操作の説明 |
|---|---|---|
| 雛形(テンプレート) | 書類・署名者・入力欄を雛形として登録し、契約書の作成時に読み込む | オリジナル雛形の登録 |
| 一括送信 | 同じ内容の契約書を複数名に送る。送信先はCSVで登録(1回に最大80件) | 署名者設定における一括送信先設定 |
| 自動リマインド | 送信日から指定した日数が過ぎても署名がなければ、署名依頼メールを自動で再送する | 契約書の自動リマインド設定 |
| 一括リマインド | 先方確認中の未締結の契約書を一覧で選び、署名依頼メールをまとめて再送する | 署名依頼のリマインドメールをまとめて送信する |
ヘルプでは、一括送信は同じ内容の契約書を複数名に送る機能として案内されています。誓約書のように全員共通の書類に向いています。時給や勤務日が人ごとに違う労働条件通知書兼雇用契約書は、雇用形態ごとの雛形から1件ずつ作ると確実です。
あわせて、署名の期限と自動リマインドの日数を決めておきます。自動リマインドの日数は会社の既定値として設定できるので、担当者ごとの設定漏れを防げます。期限を過ぎた人には、一覧から一括リマインドで再送します。
大量採用の費用感
月50名に1人1件ずつ送り、全員が締結した場合の費用は月額16,500円(税込・基本料5,500円+220円×50件)。件数は締結した書類の数で数える。
一括送信では送信先の人数分の契約書が作られるので、1人1件として数えます。Digital Sign の料金は締結した件数で計算するため、送信しただけで締結に至らなかった書類は件数に入りません。ライトプランは月額5,500円+220円×件数で、月50件なら16,500円です。スタンダードプランは月額22,000円で月50件までが含まれ、51件目から1件220円が加算されます。いずれも税込で、初期費用はかかりません。フリープラン(0円)は受信・署名のみで、送信はできません。
Digital Sign で送信された契約書は送信から締結完了まで中央値で約6時間、署名完了率は86.5%です(中央値は2026年3月〜8月に送信された契約書 4,916件、署名完了率は2026年3月〜7月に送信された契約書 4,433件を対象とした2026年9月18日時点の自社実測値。テンプレート・ファイル送信・トライアル期間中の締結を除く)。
採用の多い月と少ない月で件数が変わる場合は、月ごとの件数でライトとスタンダードのどちらが合うかを、下のシミュレータで確かめられます。
月の採用人数と、契約書を送る担当者の人数から、月額(税込)とおすすめプランを試算できます。
料金シミュレータを開く無料トライアル
契約書の送信を、締結3件まで無料でお試しいただけます
フリープラン(無料)に登録し、ログイン後の料金プラン画面からその場で開始できます。お申し込み・クレジットカードの登録は不要です。
※締結が3件に達した時点でトライアルは終了します。終了時点で送信済みの契約書は、締結まで無償でご利用いただけます(トライアル中に作成できる契約書は5件までです)。終了後は自動的にフリープラン(受信・署名のみ)に戻り、料金は発生しません。ご利用は1社につき1回限りです。
パート・有期で明示する事項
パート・有期の労働者には、労働基準法の明示事項に加え、昇給・退職手当・賞与の有無や相談窓口なども明示する(パートタイム・有期雇用労働法6条1項)。
パートタイム・有期雇用労働法6条1項は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたとき、労働基準法で明示する事項とは別に、省令で定める事項を文書の交付などで速やかに明示するよう事業主に求めています(e-Gov パートタイム・有期雇用労働法)。同法施行規則2条1項が定める事項は、①昇給の有無 ②退職手当の有無 ③賞与の有無 ④待遇の相違の内容と理由などについて説明を求めることができる旨 ⑤相談窓口 の5つです。明示は文書の交付が原則で、本人が希望した場合に限り、ファクシミリか、出力して書面を作成できる電子メール等で行えます(同規則2条3項。e-Gov 同法施行規則)。
| 対象 | 明示する事項(主なもの) | 根拠 |
|---|---|---|
| すべての労働者 | 契約期間、就業の場所と業務(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻、賃金、退職など | 労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条1項 |
| 有期契約で更新する場合があるとき | 更新の基準(更新上限があればその内容を含む) | 労働基準法施行規則5条1項1号の2 |
| パート・有期の労働者 | 昇給・退職手当・賞与の有無、説明を求めることができる旨、相談窓口 | パートタイム・有期雇用労働法6条1項、同法施行規則2条1項 |
3行目の事項は、ない場合も「なし」と明示します。パート・有期用のテンプレートにこの欄があるかを、電子化の前に確認してください。各事項の詳細は「雇用契約書は電子化できる?」で解説しています。
有期契約の更新は満了日でまとめて送り直す
有期契約は更新のたびに労働条件を明示する。対象者を満了日でまとめ、条件が前回と同じ人と変わる人に分けて、更新後の書類を送り直す。
有期契約で更新する場合があるときは、更新の基準を明示する必要があり、更新上限を定めている場合はその上限も含まれます(労働基準法施行規則5条1項1号の2。e-Gov 労働基準法施行規則)。厚生労働省は、2024年4月から、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限の有無と内容の明示が必要になったと案内しています(厚生労働省 リーフレット)。更新上限を新しく設ける場合の説明など、2024年4月の変更点は「雇用契約書は電子化できる?」の「2024年4月からの明示事項の追加に注意」で解説しています。
更新を電子で回す手順は次の4段階です。
- 対象者の洗い出し: 契約期間の満了日が近い人を一覧にし、更新する・しないを決めます
- 条件で分ける: 時給・勤務日・契約期間が前回と同じ人と、変わる人に分けます
- 書類の送信: 条件がすべて同じ人には同じ内容の書類を一括送信で送れます。条件が人ごとに違う人には、雛形から1件ずつ作ると確実です。いずれも満了日より前に送ります
- 締結の確認: 満了日までに署名が終わったかを一覧で確認し、未署名の人にはリマインドを送ります
満了日がばらばらだと、毎月少しずつ更新の作業が発生します。採用時に契約期間の満了日をそろえておくと、更新をまとまった作業として一度に進められます。
この記事のまとめ
- アルバイト・パートの雇用契約書も電子化できる。労働条件通知書を電子で交付するには、本人の希望と、出力して書面にできる方法であることが必要(労働基準法施行規則5条4項)
- 大量採用では、テンプレート・一括送信・リマインドを組み合わせ、本人がスマートフォンで署名まで終えられる形にする
- パート・有期では昇給・退職手当・賞与の有無なども明示する。有期契約は更新のたびに明示が必要なので、満了日でまとめて送り直す
本記事のご利用にあたって
本記事は2026年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務の判断を示すものではありません。実際の取扱いは契約の内容や個別の事情によって異なります。個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家、または所轄の税務署・労働基準監督署にご確認ください。
自社の採用人数と更新の件数で費用を試算する場合は、下のシミュレータをご利用ください。
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よくある質問
- アルバイトの契約を更新するたびに労働条件通知書を送り直す必要がありますか?
- 送り直す必要があります。有期契約を更新するときは、更新後の契約について労働条件を明示します。2024年4月からは、有期労働契約の締結と更新のタイミングごとに、更新上限の有無と内容も明示する必要があります。
- パートに昇給や賞与がない場合も労働条件通知書に書く必要がありますか?
- 書く必要があります。パートタイム・有期雇用労働法6条1項と同法施行規則2条1項は、昇給・退職手当・賞与についてその有無の明示を求めているため、ない場合は「なし」と記載します。相談窓口なども明示する事項に含まれます。
- 同じ雇用契約書を複数のアルバイトにまとめて送れますか?
- 送れます。Digital Sign では有料プラン(ライト・スタンダード)の一括送信で、送信先をCSVで登録し、同じ内容の契約書を1回に最大80件まで送れます。時給や勤務日が人ごとに違う書類は、雛形から1件ずつ作ると確実です。
- アルバイトが期限までに署名してくれないときはどうすればいいですか?
- 署名依頼のメールを再送します。Digital Sign では、送信日から指定した日数が過ぎると署名依頼メールを自動で再送する設定と、未署名の契約書を選んでまとめて再送する機能があります。期限と再送の日数を送信前に決めておくと、個別の催促を減らせます。
- 在籍中のアルバイトの雇用契約書も電子化し直す必要がありますか?
- 必要ありません。締結済みの紙の契約書は、そのまま保管しておけば足ります。電子への切り替えは次の契約更新や新しい採用から始め、その際に電子での受け取りを本人が希望するかを確認します。在籍中の人も、次の更新から電子に移れます。
