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入社手続きのペーパーレス化|必要書類と電子化の進め方

入社手続きのペーパーレス化 必要書類の一覧と電子化の進め方

内定者に入社書類一式を郵送し、返送を待つ。入社日が近づいても届かず、電話とメールで催促する。月に10名、20名と採用している会社では、この催促だけで人事担当者の時間が削られていきます。入社手続きで発生する書類は種類が多く、社会保険のように法定期限があるものも含まれます。何がどこまで電子化できて、どこから始めるとよいのかを整理します。

この記事のポイント

  • 入社書類には法定期限がある。健康保険・厚生年金の資格取得届は入社日から5日以内、雇用保険は入社した月の翌月10日まで
  • 本人と会社の間で交わす書類(雇用契約書・誓約書・身元保証書・内定承諾書)は電子で締結できる。行政への届出は電子契約ではなく e-Gov などの電子申請の領域
  • 全書類を一度に切り替えず、次の採用月に本人と交わす書類から始めると失敗しにくい

入社手続きで発生する書類と法定期限の全体像

入社手続きの書類は「本人と交わすもの」「本人から回収するもの」「役所に届け出るもの」の3種類。社会保険の資格取得届は入社日から5日以内、雇用保険は入社した月の翌月10日までが期限。

入社手続きの書類は、大きく3種類に分かれます。本人と交わすもの(雇用契約書・誓約書など)、本人から回収するもの(扶養控除等申告書・マイナンバーなど)、役所に届け出るもの(社会保険・雇用保険)です。このうち期限が法令で決まっているのは、届出と一部の申告書です。届出には本人から回収した情報が必要なため、回収の遅れがそのまま期限の遅れになります。

書類 渡す・出す先 期限 電子化の経路と可否 根拠
労働条件通知書兼雇用契約書 本人 労働契約の締結時(入社日まで) ①電子契約で締結できる。ただし労働条件の明示を電子で行うには本人の希望が必要 労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条4項
誓約書 本人 社内ルールによる ①電子契約で締結できる(法令上の書面要件はない)
身元保証書 本人・保証人 社内ルールによる ①電子契約で締結できる。電磁的記録は書面によるものとみなされるが、別に極度額の定めが必要 民法446条2項・3項、465条の2
内定承諾書 本人 内定通知後(社内ルール) ①電子契約で締結できる(法令上の書面要件はない)
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 会社が受け取って保管 その年最初に給与の支払を受ける日の前日まで ③電子契約ではない。要件を満たせば電磁的方法で提供を受けられる(給与計算システム等で扱う) 所得税法194条1項、198条
マイナンバー(個人番号)と本人確認書類 会社 源泉徴収票などの作成までに ③電子契約ではない。番号確認と身元確認が必要で、契約書とは別の管理体制で扱う 番号法16条
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 年金事務所・健康保険組合 入社日(資格取得日)から5日以内 ②電子契約ではない。e-Gov などの行政の電子申請で提出する 健康保険法施行規則24条、厚生年金保険法施行規則15条
雇用保険 被保険者資格取得届 ハローワーク 入社した月の翌月10日まで ②電子契約ではない。e-Gov などの行政の電子申請で提出する 雇用保険法施行規則6条
前職の源泉徴収票 本人から回収 年末調整まで ③電子契約ではない。原本の回収が必要になる場合がある 年末調整の実務
  • 経路の見方: は電子契約サービスで本人と締結するもの、は e-Gov などの行政の電子申請で提出するもの、は本人から回収するが電子契約とは別の手段で扱うものです。番号は次章「どこまで電子化できるか」と図2 の仕分けに対応しています。②と③は電子契約サービスでは完結しません
  • 期限の根拠: 健康保険法施行規則24条厚生年金保険法施行規則15条雇用保険法施行規則6条(いずれも厚生労働省 法令等データベース)
  • 扶養控除等申告書は、会社が受理した日に税務署長へ提出されたものとみなされるため、会社で保管します(所得税法194条・198条

表のうち、人事担当者が催促に追われるのは①の経路、つまり本人と交わす書類です。電子契約サービスで完結できるのはこの範囲で、②の行政への届出と③の回収は、それぞれ別の仕組みで進めます。「入社手続きを電子化する」と言うときに、この3つが一度にまとめて片づくわけではない点に注意してください。

入社前に本人と交わす書類を回収し、入社日から5日以内に社会保険の資格取得届、入社した月の翌月10日までに雇用保険の資格取得届を提出する 入社日 5日以内 翌月10日 入社前(本人と交わす) 内定承諾書・雇用契約書 誓約書・身元保証書 社会保険の資格取得届 健康保険・厚生年金 健保則24条・厚年則15条 雇用保険の届出 資格取得届 雇保則6条 本人からの回収が遅れると 右側の届出が期限に間に合わなくなる 扶養控除等申告書は、その年最初の 給与支払日の前日までに会社が受け取る
図1: 入社日を起点にした期限。塗りのある左側(本人と交わす書類)が電子化の対象になる

どこまで電子化できるか — 書類別の可否と根拠

本人と会社の間で交わす書類(雇用契約書・誓約書・身元保証書・内定承諾書)は電子で締結できる。社会保険や雇用保険の届出は電子契約ではなく、行政の電子申請で行う。

電子化を考えるときは、書類を3つの経路に仕分けると整理できます。①電子契約で本人と締結するもの、②行政の電子申請で提出するもの、③本人から回収するが電子契約とは別の手段で扱うもの、の3つです。

  • ①電子契約で締結できるもの: 雇用契約書・労働条件通知書は、本人が希望すれば電子で交付できます(労働基準法施行規則5条4項。詳しくは「雇用契約書は電子化できる?」)。誓約書と内定承諾書には法令上の書面要件がなく、電子で締結できます。身元保証書も電子で締結できますが、次のH3で説明する注意点があります
  • ②行政の電子申請で提出するもの: 健康保険・厚生年金・雇用保険の資格取得届は、電子契約サービスではなく e-Gov 電子申請などの経路で提出します。電子契約とは別の仕組みだと理解しておいてください
  • ③別の手段で扱うもの: 扶養控除等申告書は、要件を満たせば電磁的方法で提供を受けられます(所得税法198条2項)が、実務では給与計算システムで扱うのが一般的です。マイナンバーは番号法16条の本人確認が必要で、契約書とは別の管理体制が求められます
入社書類は、電子契約で締結するもの、行政の電子申請で提出するもの、給与システムなど別の手段で扱うものの3経路に仕分けられる ①電子契約で締結 本人と会社の間で交わす書類 内定承諾書 労働条件通知書兼雇用契約書 誓約書 身元保証書 まとめて1回で送れる ②行政の電子申請 役所に届け出る書類 健康保険 資格取得届 厚生年金 資格取得届 雇用保険 資格取得届 e-Gov 電子申請など 電子契約とは別の仕組み ③別の手段で扱う 本人から回収する情報 扶養控除等申告書 マイナンバー・本人確認 前職の源泉徴収票 給与システム・専用の収集手段 契約書とは別に管理する
図2: 入社書類の3経路。塗りのある①が電子契約サービスで完結する範囲

身元保証書を電子化するときの注意

身元保証書は電子で締結できると整理できますが、確認しておきたい点が2つあります。

1つ目は書面の要件です。損害賠償の保証を含む保証契約は、書面でしなければ効力を生じないと民法446条2項が定めています。ただし同条3項は、保証契約が「その内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」と定めています(e-Gov 民法)。電磁的記録による締結は書面によるものとみなされるため、この点で電子契約が妨げられることはありません。

2つ目は極度額です。個人が保証人になる根保証契約は、極度額(保証する上限額)を定めなければ効力を生じないと民法465条の2第2項が定めています。将来発生する損害を保証する身元保証書はこの個人根保証に当たると考えられており、上限額の記載がないひな形をそのまま電子化すると、電子か紙かにかかわらず効力に問題が生じます。

あわせて、身元保証ニ関スル法律も確認してください。期間を定めない身元保証契約は成立の日から3年、期間を定める場合も5年を超えることはできず、更新する場合も更新のときから5年以内とされています(e-Gov 身元保証ニ関スル法律)。同法には書面によることを求める規定は置かれていません。電子化を機に、極度額と期間が入ったひな形になっているかを社会保険労務士や弁護士に確認しておくと安心です。

内定承諾書から電子化を始める

どの書類から着手するか迷う場合は、内定承諾書から始めるのが現実的です。理由は3つあります。

第一に、法令上の書面要件がなく、社内の判断だけで切り替えられます。第二に、内定を出してから承諾をもらうまでの時間が短くなります。郵送では往復で数日かかっていたものが、その日のうちに返ってくることもあります。第三に、内定承諾のタイミングは、労働条件通知書を電子で交付してよいかという本人の希望を確認する場面でもあります。承諾書と希望確認をまとめて電子で行えば、そのあとの雇用契約書の電子化がそのまま進みます。

採用競合が多い職種では、内定から承諾までの時間が辞退率に影響することもあります。まず1書類だけを電子に切り替えて、回収までの日数を紙のときと比べてみてください。

入社書類の回収を効率化する運用設計

回収を早めるには「書類のセット化」「送信タイミングの前倒し」「督促の自動化」の3点を設計する。1回の送信で複数の書類をまとめて届けると、本人の手間が1回で済む。

電子契約サービスを入れただけでは、回収は劇的には早くなりません。効いてくるのは運用の設計です。ポイントは3点あります。

  • 書類のセット化: 誓約書・身元保証書・労働条件通知書兼雇用契約書を1回の送信でまとめて届けます。本人が署名する機会が1回で済み、「あの書類だけ返ってこない」という状態がなくなります
  • 送信タイミングの前倒し: 入社日の直前ではなく、内定承諾の直後に送ります。社会保険の資格取得届は入社日から5日以内が期限のため、必要な情報は入社前に手元にある状態が理想です
  • 督促の自動化: 未署名の書類を一覧で確認できるようにし、期日前のリマインドを自動で送る設定にします。担当者が個別に電話をかける運用から抜けられます

Digital Sign では、書類ごとに署名者と期限を設定して送信でき、未署名の契約書は一覧で確認できます。受け取る側はスマートフォンの画面で内容を確認してそのまま署名できるため、パソコンやプリンターを持っていない人でも手続きが完結します。アルバイト・パートの採用が多い会社では、この点が回収率に効いてきます。

誓約書・身元保証書・労働条件通知書兼雇用契約書を1回の送信でまとめて届け、本人がスマートフォンで署名すると回収が完了する 1回の送信 誓約書 身元保証書 労働条件通知書兼 雇用契約書 本人に届く スマホで確認 その場で署名 印刷・押印・返送は不要 3書類を続けて署名 未署名は一覧で確認 回収完了 催促の電話が 不要になる ※ 社会保険・雇用保険の届出は、この回収とは別に e-Gov などの電子申請で行う
図3: 1回の送信で複数書類をまとめて届ける運用。本人が署名する機会が1回で済む

進め方4ステップ

①書類の棚卸しと仕分け ②電子交付の希望確認をどの時点で取るか決める ③テンプレート整備 ④次回の採用者からスモールスタート の順。全書類を一度に切り替えない。

いきなり全書類を電子に切り替えるのではなく、次の採用月から一部の書類で始めるのが失敗しにくい進め方です。

  1. 書類の棚卸しと仕分け: 採用時に交わしている書類をすべて書き出し、前章の3経路(電子契約・行政の電子申請・別の手段)に仕分けます。この段階で、身元保証書のひな形に極度額と期間が入っているかも確認します
  2. 希望確認のタイミングを決める: 労働条件通知書を電子で交付するには本人の希望が要件です。内定通知時に確認する会社が多く、記録の残し方とあわせて決めておきます(詳細は「雇用契約書は電子化できる?」)
  3. テンプレートの整備: 書類ごとにひな形を登録し、署名欄と入力欄の位置を決めます。雇用形態ごとに分けておくと、送信時の選択だけで済みます
  4. 次回の採用者からスモールスタート: 次の入社者から適用し、回収にかかった日数と回収率を紙のときと比べます。うまくいけば対象書類を広げていきます

すでに入社した人の書類を遡って電子化する必要はありません。切り替えの起点を「次に入社する人から」と決めておくと、現場の混乱が起きにくくなります。

効果とコスト

効果は「返ってくるまでの日数」と「回収率」に表れる。費用は月20名×3書類=月60件の場合、ライトプランで5,500円+220円×60件=18,700円(税込)。

電子化の効果は「書類が返ってくるまでの日数」と「回収率」に表れます。Digital Sign で送信された書類は、送信から締結完了までの中央値が約6時間、署名完了率は86.5%です(中央値は2026年3月〜8月に送信された契約書 4,916件、署名完了率は2026年3月〜7月に送信された契約書 4,433件を対象とした2026年9月18日時点の自社実測値。テンプレート・ファイル送信・トライアル期間中の締結を除く)。費用は、月20名の入社で1人あたり誓約書・身元保証書・労働条件通知書の3点を送る場合、月60件の送信となり、ライトプランで 5,500円 + 220円 × 60件 = 18,700円(税込)です。初期費用はかかりません。

郵送の場合にかかっていた印刷代・封筒代・往復の切手代と、催促にかけていた時間を置き換える形になります。書類の点数と採用人数によって件数は変わるため、自社の条件で試算してみてください。

この記事のまとめ

  • 本人と交わす書類(内定承諾書・雇用契約書・誓約書・身元保証書)は電子で締結できる。行政への届出は e-Gov などの電子申請で別に行う
  • 身元保証書は電磁的記録でも書面によるものとみなされるが、極度額の定めと期間の上限に注意する(民法446条3項・465条の2、身元保証ニ関スル法律)
  • 回収を早めるのは「セット化・前倒し送信・督促の自動化」の3点。次の採用月から1書類ずつ始める

本記事のご利用にあたって

本記事は2026年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務の判断を示すものではありません。実際の取扱いは契約の内容や個別の事情によって異なります。個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家、または所轄の税務署・労働基準監督署にご確認ください。

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よくある質問

入社書類はどこまで電子化できますか?
本人と会社の間で交わす書類の多くは電子化できます。雇用契約書・労働条件通知書は本人の希望があれば電子交付が可能で、誓約書は法令上の書面要件がなく、身元保証書も電子で締結できます。一方、社会保険や雇用保険の届出は電子契約ではなく、e-Gov などの行政の電子申請で行います。
身元保証書を電子でもらうのは有効ですか?
電子で締結した身元保証書も、書面によるものとみなされます。損害賠償の保証を含む保証契約は書面でしなければ効力を生じませんが(民法446条2項)、その内容を記録した電磁的記録によってされたときは書面によるものとみなすと定められています(同条3項)。あわせて、個人が保証人になる根保証契約は、極度額(保証の上限額)を定めなければ効力を生じないため(民法465条の2第2項)、ひな形に上限額が入っているかを確認してください。
マイナンバーも電子契約サービスで集められますか?
マイナンバーの収集には、番号法16条に基づく番号確認と身元確認が必要です。マイナンバーは契約書とは別の管理体制が求められるため、電子契約サービスではなく、給与システムや専用の収集手段で扱う会社が多くあります。入社書類のうち本人と交わす契約書類は電子契約で、マイナンバーは別の経路で、と分けて設計するのが安全です。
アルバイトがスマホしか持っていなくても手続きできますか?
できます。Digital Sign では、メールで届いた契約書をスマートフォンの画面で確認し、そのまま署名して完了します。パソコンやプリンターは必要ありません。自宅に印刷環境のないアルバイト・パートの方の入社書類回収に向いています。
入社日までに書類が揃わないときの法定期限は?
健康保険・厚生年金の資格取得届は入社日(資格取得日)から5日以内、雇用保険の資格取得届は入社した月の翌月10日までが期限です。本人からの書類回収が遅れると届出が期限に間に合わなくなるため、入社日より前に書類を電子で回収しておく運用が有効です。

執筆: 株式会社デジタルサイン

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