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労働条件通知書をメールで交付する方法|要件チェックリストと文例

労働条件通知書をメールで交付する方法 要件チェックリストと文例

「内定者に労働条件通知書をメールで送ってよいのか」「PDFを添付すれば足りるのか、本人の同意は必要なのか」。採用の連絡はメールで済ませていても、労働条件通知書だけは紙で郵送している会社は少なくありません。この記事では、メールで交付するための要件をチェックリストにまとめ、希望確認と送付のメール文例、送付から保存までの手順を示します。

この記事のポイント

  • 労働条件通知書は、労働者本人が希望し、出力して書面を作成できる方法であれば、メールで交付できる(労働基準法施行規則5条4項)
  • 送る前に確認するのは「本人の希望」「受信者を特定した送信」「出力できる形式」「記載事項」の4点。受信の確認と控えの保存もあわせて手順に入れる
  • 希望確認と送付のメールは文例を定型にしておくと、担当者が変わっても運用が崩れない

労働条件通知書はメールで交付できる

労働条件通知書は、労働者本人が希望し、出力して書面を作成できる方法であれば、メールで交付できる(労働基準法施行規則5条4項)。希望がなければ書面で交付する。

労働基準法15条1項は、会社に労働条件の明示を義務づけ、賃金や労働時間など省令で定める事項は、省令で定める方法で明示するよう求めています(e-Gov 労働基準法)。その方法を定めているのが、労働基準法施行規則5条4項です。

「法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。

一 ファクシミリを利用してする送信の方法

二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)」

(労働基準法施行規則5条4項。e-Gov 労働基準法施行規則)

読み替えると、①労働条件通知書は書面で渡すのが原則で、②労働者が希望した場合に限り、ファクシミリか電子メール等で送ることができ、③電子メール等は、労働者が出力して書面にできるものに限られる、ということです。出発点は本人の希望で、会社の判断だけでメールに切り替えることはできません。

雇用契約書そのものの電子化と法的な効力は「雇用契約書は電子化できる?法的根拠と導入手順」で解説しています。この記事は、労働条件通知書をメールで送る実務に絞ります。

メール交付の要件チェックリスト

メールで交付する前に確認するのは、①本人の希望 ②受信者を特定した送信 ③出力して書面にできる形式 ④記載事項 の4点。1つでも欠けるなら書面で交付する。

条文の要件を、送る前に確認できる形に置き換えると次の4点になります。1つでも満たせない項目があれば、その人には書面で交付します。

確認すること 根拠 満たせないときの扱い
①本人が電子での交付を希望し、その記録が残っている 労働基準法施行規則5条4項ただし書 書面で交付する。会社が一方的に決めた運用は希望に当たらない
②本人だけに届く宛先に送る(本人のメールアドレス、本人宛てのメッセージなど) 同項2号「その受信をする者を特定して」 掲示板・ホームページへの掲載は、この方法に当たらない
③本人が印刷・保存できる形式で送る(PDFの添付など) 同項2号の括弧書き(出力して書面を作成できるもの) 画面で見るだけで印刷・保存できない形式は避ける
④書面で明示すべき事項がすべて記載されている 労働基準法施行規則5条1項・3項 欠けた事項は明示したことにならない。テンプレートを直して送り直す
  • ①〜③はメールで送るための要件、④は書面で渡す場合にも同じく求められる要件です
  • ④の明示事項には、2024年4月から就業場所・業務の「変更の範囲」、有期契約の更新上限などが加わっています。詳しくは「雇用契約書は電子化できる?」をご覧ください
労働条件通知書をメールで交付する前に、本人の希望、受信者を特定した送信、出力できる形式、記載事項の4点を順に確認し、すべて満たせばメールで交付、1つでも欠ければ書面で交付する メールで送る前に確認する4点 ①本人の希望 電子で受け取ることを 本人が選んだ記録 ②受信者を特定 本人のアドレス・ 本人宛てのメッセージ ③出力できる形式 印刷・保存できる PDFの添付など ④記載事項 書面で明示すべき 事項がすべてある すべて満たす メールで交付 1つでも満たせないとき その人には書面で交付する
図1: メールで交付する前の4つの確認。塗りのある①〜③はメールで送るための要件、④は書面でも同じく求められる要件

メールで送れる方法・送れない方法

電子メールのほか、本人宛てのSNSのメッセージやファクシミリも使える。ブログやホームページへの掲載など相手を特定しない方法や、印刷・保存できない方法は使えない。

厚生労働省のリーフレットは、電子メールやWebメールサービスに加えて、LINEなどSNSのメッセージ機能を使える方法の例に挙げ、第三者に見せることを目的としたブログや個人のホームページへの書き込みによる明示は認められないとしています(厚生労働省 リーフレット)。主な方法を整理すると次のとおりです。

方法 扱い 注意点
電子メール(PDFを添付) 使える 印刷・保存しやすい。厚生労働省も添付ファイルで送るよう案内している
電子メール(本文に記載) 使える 記載漏れや改行の崩れが起きやすい。PDFの添付をおすすめする
SNSのメッセージ(本人の個人アカウント宛て) 使える グループへの投稿は使わない。本文に細切れに書かず、PDFを添付する
ファクシミリ 使える 条文に明記されている
電子契約サービス 条件つき 本人宛てに送られ、本人が書類をPDFで保存・印刷できることを確認する
SMS(ショートメッセージ) 望ましくない 禁止はされていないが、ファイルを添付できず文字数の上限もある
社内掲示板・ホームページへの掲載 使えない 受信者を特定していない
口頭・電話 使えない 出力して書面にできない

どの方法でも、①本人の希望と④記載事項は別に満たす必要があります。電子契約サービスは、本人宛ての通知メールから書類を開いて署名する仕組みが一般的です。導入前に、受け取る側が書類をPDFで保存・印刷できるかを確認しておきましょう。

労働条件通知書を送る方法は、電子メールやファクシミリなど使える方法、SMSや電子契約サービスなど送り方の確認が要る方法とSMSのように望ましくない方法、掲示板や口頭など使えない方法の3つに分かれる 使える 本人が希望していることが前提 ・電子メール(PDFを添付) ・電子メール(本文に記載) ・SNSのメッセージ (本人の個人アカウント宛て) ・ファクシミリ 注意が要る 条件つき・望ましくない ・電子契約サービス 条件つき PDFで保存・印刷できるか ・SMS 望ましくない 添付できず文字数に上限 使えない 書面で交付する ・社内掲示板への掲載 ・ホームページへの掲載 ・口頭・電話 ・画面で見るだけの形式
図2: 労働条件通知書を送る方法の3区分。どの方法でも、本人の希望と記載事項は別に満たす必要がある

本人の希望(同意)の取り方と文例

本人の希望は、内定通知から入社案内までの間に電子か書面かを本人に選んでもらい、回答を記録して確認する。会社が一方的に決めた運用は希望に当たらない。

条文の言葉は「同意」ではなく「希望」です。会社が「労働条件通知書はメールで交付します」と決めて全員に送る運用や、就業規則に書いておくだけの運用では、本人が希望したことになりません。厚生労働省のリーフレットも、本当に希望したかを個別に、かつ明示的に確認するよう求めています。

確認は、労働条件通知書を送る前の内定通知から入社案内までの間に済ませます。記録はメールの返信やフォームの回答など、あとから取り出せるものであれば形式は問いません。記録に残す項目は「雇用契約書は電子化できる?」で整理しています。

文例: 電子交付の希望を確認するメール

件名: 労働条件通知書の受け取り方法のご確認

〇〇 〇〇 様

このたびは内定をご承諾いただき、ありがとうございます。株式会社〇〇 人事部の〇〇です。

入社にあたり、賃金や勤務時間などの労働条件をお知らせする「労働条件通知書」をお送りします。受け取り方法を、次のどちらかからお選びください。

  • A. 電子メールで受け取る(PDFファイルを添付してお送りします。印刷・保存が可能です)
  • B. 書面(郵送)で受け取る

このメールに「A」または「B」とご返信ください。〇月〇日までにご返信がない場合は、書面でお送りします。電子メールを選んだあとで書面での受け取りをご希望の場合も、いつでもお申し出ください。

お問い合わせ先: 株式会社〇〇 人事部 〇〇(電話 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)

返信がない場合の扱いを「書面で送る」にしているのは、返信がないことを希望とみなすと、本人が選んだ記録が残らないためです。書面を選んだ人や、あとから書面を希望した人には、原則どおり書面で交付します。受け取り方法は採用台帳の1列にして管理するとよいでしょう。

採用台帳で月の採用人数が分かっていれば、電子契約で送る場合の費用は下のシミュレータで試算できます。

月の採用人数と、通知書を送る担当者の人数から、電子契約で送る場合の月額(税込)とおすすめプランを試算できます。

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労働条件通知書を送るメールの文例

送付メールには、①通知書を添付したこと ②内容の確認と保存のお願い ③受け取った旨の返信依頼 ④問い合わせ先 を書く。条件は本文に書き写さずPDFで添付する。

本文に条件を書き写すと、PDFとの食い違いや記載漏れが起きたときに、どちらが正しいのか分からなくなります。メール本文は送付の案内だけにします。

文例: 労働条件通知書を送付するメール

件名: 【株式会社〇〇】労働条件通知書の送付(〇〇 〇〇 様)

〇〇 〇〇 様

株式会社〇〇 人事部の〇〇です。先日ご希望をいただいたとおり、労働条件通知書を電子メールでお送りします。

添付ファイル: 労働条件通知書_〇〇〇〇様.pdf(〇年〇月〇日付)

契約期間、就業の場所と業務、勤務時間、賃金などを記載しています。内容をご確認のうえ、お手元に保存または印刷して保管してください。

受け取りの確認のため、このメールに「受け取りました」とご返信ください。ファイルが開けない場合や、書面での受け取りに変更したい場合も、返信でお知らせください。

株式会社〇〇 人事部 〇〇(電話 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇)

厚生労働省のリーフレットは、義務ではないとしつつ、明示した日付・送信した担当者の氏名・事業場や法人の名前などを書いておくとトラブルを防げるとしています。賃金などの個人情報を含むため、送る前に宛先が本人のアドレスかも再確認してください。

送付から保存までの手順

手順は①希望の確認と記録 ②通知書の作成と記載事項の確認 ③送付 ④受信の確認 ⑤控えの保存 の5段階。受信の確認と控えの保存までを1件の手続きとして扱う。

  1. 希望の確認と記録: 文例で受け取り方法を確認し、回答を採用台帳などに記録します
  2. 通知書の作成と記載事項の確認: 雇用形態ごとのテンプレートから作成し、明示すべき事項が揃っているか、PDFが開けて印刷できるかを確かめます
  3. 送付: 本人のメールアドレス宛てに、PDFを添付して送ります
  4. 受信の確認: 本人から受け取りの返信が来たかを確認します。期限までに返信がなければ、電話などで届いているかを確かめます
  5. 控えの保存: 送ったPDF、送付メール、受け取りの返信をまとめて保存します

④の受信の確認は条文の要件ではありません。ただ、厚生労働省のリーフレットは、紛争を防ぐ観点から、本当に到達したかを労働者に確認し、なるべく出力して保存するよう伝えることを求めています。受信拒否の設定などで、送ったのに本人が内容を確認できない場合があるためです。

⑤について、労働基準法109条は、雇入れなど労働関係に関する重要な書類を5年間保存するよう定めています(附則143条により、当分の間は3年間。e-Gov 労働基準法)。労働条件通知書の控えも、これに含めて保存しておくと安全です。

労働条件通知書のメール交付は、希望の確認と記録、通知書の作成と記載事項の確認、送付、受信の確認、控えの保存の5段階で進める 送る前 送る 送ったあと ①希望の確認 電子か書面かを 本人に選んでもらう 回答を台帳に記録 ②作成と確認 記載事項が 揃っているか PDFが開けるか ③送付 本人のアドレスへ PDFを添付して送る 宛先を再確認 ④受信の確認 受け取りの返信を 確認する 返信がなければ連絡 ⑤控えの保存 PDF・送付メール・ 返信をまとめる 保存場所を決める ④⑤までを1件の手続きとして扱うと、「受け取っていない」と言われたときに送付の記録を示せる
図3: 送付から保存までの5段階。塗りのある①②は送る前に済ませておく部分

電子契約サービスで送る場合

「労働条件通知書兼雇用契約書」を使っている会社では、電子契約サービスで送ると③〜⑤を1回の操作で進められます。本人が署名した時点で受け取ったことが記録に残り、締結済みの書類はPDFで本人も会社も保存できます。

月10名を採用する会社が、労働条件通知書兼雇用契約書を1名1件として電子で送る場合、Digital Sign のライトプランなら月額 5,500円 + 220円 × 10件 = 7,700円(税込)です。初期費用はかかりません。Digital Sign で送信された契約書は送信から締結完了まで中央値で約6時間、署名完了率は86.5%です(中央値は2026年3月〜8月に送信された契約書 4,916件、署名完了率は2026年3月〜7月に送信された契約書 4,433件を対象とした2026年9月18日時点の自社実測値。テンプレート・ファイル送信・トライアル期間中の締結を除く)。受け取る側は費用がかからず、スマートフォンだけで署名まで完了できます。

この記事のまとめ

  • 労働条件通知書は、本人が希望し、出力して書面にできる方法であれば、メールで交付できる(労働基準法施行規則5条4項)。希望がなければ書面で交付する
  • 送る前に「本人の希望」「受信者を特定した送信」「出力できる形式」「記載事項」の4点を確認する。ホームページへの掲載や口頭は使えない
  • 希望確認と送付のメールは文例を定型にし、受信の確認と控えの保存までを1件の手続きとして扱う

本記事のご利用にあたって

本記事は2026年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務の判断を示すものではありません。実際の取扱いは契約の内容や個別の事情によって異なります。個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家、または所轄の税務署・労働基準監督署にご確認ください。

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よくある質問

労働条件通知書をLINEで送ってもいいですか?
本人が希望し、本人の個人アカウント宛てに送るのであれば使えます。厚生労働省のリーフレットも、LINEなどSNSのメッセージ機能を使える方法の例に挙げています。本文に細切れに書かず、本人が印刷・保存できるようPDFを添付して送ってください。
労働条件通知書はメール本文に書くだけでもいいですか?
本文に書く方法も認められていますが、PDFを添付する形をおすすめします。厚生労働省も、印刷や保存がしやすいよう添付ファイルで送るよう案内しています。本文には送付の案内と受け取り確認のお願いだけを書きます。
電子交付の希望は口頭で確認してもいいですか?
法令上、確認の形式は決まっていませんが、記録が残る方法で確認してください。口頭だけでは、あとで本人が希望したことを示せません。メールの返信やフォームの回答など、あとから取り出せる形で残すのが一般的です。
メールで送ったあとに紙でほしいと言われたらどうすればいいですか?
書面で交付してください。メールでの交付は本人が希望した場合に限られるため、書面を希望されたら原則どおり紙で渡します。メールで送ったものと同じ内容の書面を渡せば足ります。
労働条件通知書を交付しなかった場合の罰則はありますか?
労働条件の明示義務(労働基準法15条1項)に違反すると、30万円以下の罰金の対象になります(同法120条1号)。厚生労働省は、本人が希望していないのに電子メール等だけで明示した場合も違反になると案内しています。

執筆: キャンバスエッジ株式会社

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