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業務委託契約書に印紙は必要?電子契約で印紙税が不要になる理由

業務委託契約書の印紙税と電子契約で印紙が不要になる理由

業務委託契約書を交わすたびに、収入印紙を貼って消印を押す。フリーランスや制作会社と毎月契約を巻き直している会社では、1通4,000円の印紙が積み上がり、年間で数十万円になることもあります。「この契約書に印紙は本当に必要なのか」「電子契約なら不要と聞いたが根拠は何か」を、国税庁の見解と国会答弁をもとに整理します。

この記事のポイント

  • 紙の業務委託契約書は、内容によって印紙税がかかる。成果物の完成を約束する請負なら2号文書。7号文書(1通4,000円)は、営業者間で単価などの取引条件を定めた継続取引の基本契約に限られる
  • 電子契約で締結した契約書には印紙税がかからない。印紙税は「文書」に課される税で、電磁的記録は課税文書に当たらないという整理が国税庁の質疑応答事例と政府答弁書で示されている
  • フリーランス法3条1項の明示は書面でも電磁的方法でもよい。明示事項を含んだ契約書を電子で送れば、締結と明示を1回で済ませられる

結論 — 紙なら必要な場合がある。電子契約なら不要

紙の業務委託契約書は内容によって印紙税がかかる。電子契約で締結した契約書には印紙税がかからない。印紙税は文書に課される税で、電磁的記録は課税文書に当たらないため。

紙で業務委託契約書を作成する場合、その内容によって印紙税がかかります。一方、電子契約で締結した契約書には印紙税がかかりません。印紙税は「文書」の作成に対して課される税であり、電子データとして作られた契約書は課税の対象となる文書に当たらないためです。以下、まず紙の場合の判定方法を整理し、そのうえで電子契約に印紙税がかからない根拠を示します。

業務委託契約書の印紙税の判定(紙の場合)

紙の業務委託契約書は請負なら2号文書。7号文書(1通4,000円)は、営業者間で単価などを定めた継続取引の基本契約に限られる。準委任は原則不課税。

印紙税は、印紙税法の別表第一に掲げられた文書(課税文書)を作成した人に課されます(e-Gov 印紙税法)。「業務委託契約書」という名前の文書がそのまま課税対象になるわけではなく、書かれている内容で区分が決まります。判定の入口は、成果物の完成を約束しているか(請負か)、それとも役務の提供だけを委託しているか(準委任か)です。

契約の内容 印紙税法上の区分 1通あたりの税額 出典
成果物の完成を約束する(請負) 2号文書(請負に関する契約書) 記載された契約金額に応じた階級税率 印紙税法 別表第一
営業者どうしが、売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負のいずれかの取引を2以上継続して行うために作る基本契約で、共通して適用される取引条件のうち目的物の種類・取扱数量・単価・対価の支払方法・債務不履行の場合の損害賠償の方法・再販売価格のいずれかを定めているもの 7号文書(継続的取引の基本となる契約書) 4,000円 国税庁 No.7104印紙税法施行令26条1号
上の要件を満たす基本契約のうち、契約期間の記載があり、その期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないもの 7号文書から除外 7号としては課税されない 国税庁 No.7104印紙税法 別表第一
継続的に取引する相手との基本契約だが、上に挙げた取引条件(目的物の種類・単価・対価の支払方法など)を1つも定めていないもの 7号文書に当たらない 7号としては課税されない 印紙税法施行令26条1号
事務処理などの役務提供だけを委託する(準委任) 別表第一に掲げられていない 原則として課税されない 印紙税法 別表第一
  • 7号文書は「継続的な取引の基本契約なら4,000円」ではありません。①契約の当事者がどちらも営業者であること ②売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負のいずれかの取引を2以上継続して行うために作られたものであること ③共通して適用される取引条件のうち、目的物の種類・取扱数量・単価・対価の支払方法・債務不履行の場合の損害賠償の方法・再販売価格のいずれかを定めていること の3つをすべて満たす場合の区分です(印紙税法施行令26条1号
  • このほか、売買に関する業務・金融機関の業務・保険契約の締結の代理や媒介の業務・株式の発行や名義書換えの事務を継続して委託する契約書は、委託する業務の範囲か対価の支払方法を定めていれば7号文書に当たります(印紙税法施行令26条2号)。事務処理の委託全般がここに含まれるわけではありません
  • 3か月以内の除外は、契約期間が書かれている契約書についての定めです。印紙税法 別表第一第7号は課税物件を「継続的取引の基本となる契約書(契約期間の記載のあるもののうち、当該契約期間が三月以内であり、かつ、更新に関する定めのないものを除く。)」と定めています
  • 表の「7号としては課税されない」は、7号文書としての印紙税(1通4,000円)がかからないという意味です。その契約書が成果物の完成を約束する請負で契約金額の記載があれば、2号文書として課税されます(下の「2号と7号の両方に当たるとき」を参照)
  • 「営業者」は営業を行う者を指します。自社と相手方がこれに当たるかどうかは個別の判断になります。判断に迷う場合は税理士または所轄の税務署にご確認ください

表から分かるとおり、判定を分けるのは「成果物の完成を約束しているか」と「7号文書の3つの要件を満たすか」です。表題が「業務委託契約書」でも、中身が成果物の完成を約束する内容であれば請負として扱われます。逆に表題が「準委任契約書」でも、成果物の完成が約束されていれば請負と判定されることがあります。また、毎月同じ相手と巻き直している基本契約書であっても、上の3要件のどれかを欠いていれば7号文書には当たりません。

紙の業務委託契約書の印紙税判定。役務提供のみなら原則不課税。成果物の完成を約束する請負で契約金額の記載があれば2号文書。営業者間で単価などの取引条件を定めた継続取引の基本契約(7号文書の3要件をすべて満たすもの)で契約金額の記載がなければ7号文書4,000円 紙の業務委託契約書 成果物の完成を約束しているか (請負に当たるか) いいえ 役務提供のみ 原則不課税 はい(請負) 7号文書の3要件をすべて満たすか(施行令26条1号) ①当事者がどちらも営業者である ②売買・請負などの取引を2以上継続して行うために 作られたものである ③単価などの取引条件(6項目のいずれか)を定めている いいえ 7号文書に当たらない 2号文書として判定 はい(2号と7号の両方に当たる) 契約金額の記載があるか ある 2号文書 金額に応じた税額 ない 7号文書 1通 4,000円 ※1 ※1 上の3要件をすべて満たす基本契約でも、契約期間の記載があり、その期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないものは 7号文書から除外される(印紙税法 別表第一第7号) ※2 電子契約で締結した場合は、上のいずれにも当たらない。要件の詳細と出典は上の表を参照
図1: 紙の業務委託契約書の判定フロー(2026年8月時点の国税庁の公表資料に基づく整理)

2号と7号の両方に当たるとき

成果物の完成を約束する内容で、かつ前の表に挙げた7号文書の要件も満たす場合は、2号文書と7号文書の両方に当たります。この場合の扱いは決まっており、契約金額の記載があれば2号文書、記載がなければ7号文書となります(国税庁 質疑応答事例「請負契約及び継続的取引の基本となる契約に該当する契約書」)。

実務では、単価だけを決めて総額を書かない基本契約書が多く、その場合は7号文書として1通4,000円になります。逆に「本業務の委託料は総額◯円とする」と書けば2号文書として金額に応じた税額になります。どちらが有利かは金額によって変わるため、印紙税を減らす目的で記載を変えるのではなく、契約内容に合った書き方をしたうえで税額を確認する順序にしてください。

自動更新条項がある場合

「期間満了の1か月前までに申し出がなければ同一条件で1年間更新する」といった自動更新条項がある場合、更新のたびに新しい契約書を作成すれば、その文書ごとに印紙税がかかります。契約書を作らずに自動更新されるだけであれば、新たな課税文書は作成されていません。

注意したいのは、7号文書の除外要件です。契約期間が3か月以内であっても、更新の定めがあると除外の対象から外れます(国税庁 No.7104)。短期間の契約に自動更新条項を付けている場合は、期間の長さだけで判断しないようにしてください。

電子契約はなぜ印紙税がかからないのか

印紙税は課税文書の作成に対して課される税で、電磁的記録として作成された契約書は課税文書に当たらない。国税庁の質疑応答事例と政府答弁書で示されている整理。

印紙税法は、課税文書の作成者に納税義務があると定めています(印紙税法2条・3条。e-Gov 印紙税法)。課税されるのは「文書」を作成した場合であり、契約の合意そのものに課税されるわけではありません。ここが電子契約に印紙税がかからない理由の出発点です。

根拠として挙げられる公的な資料は2つあります。

  • 国税庁の質疑応答事例: 注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信する場合について、電磁的記録の送信は課税文書の作成に当たらないという整理が示されています(国税庁 質疑応答事例
  • 政府答弁書: 平成17年3月15日の答弁書(第162回国会・参議院)で、文書課税である印紙税の課税対象は文書であり、電磁的記録により作成されたものは課税対象とならないという考え方が示されています(参議院 答弁書

したがって、紙を1枚も作らずに電子契約サービス上で締結した業務委託契約書には、印紙を貼る必要がありません。7号文書に当たる基本契約書でも、2号文書に当たる請負契約書でも同じです。

気をつけたいのは、電子と紙が混在するケースです。自社は電子で保管し、相手方の求めに応じて紙の契約書を1通だけ作成した場合、その紙の1通は課税文書になります。「電子契約を導入したから印紙は不要」と社内に周知するときは、紙を作った時点で課税されることもあわせて伝えてください。

年間いくら浮くか試算

継続的取引の基本契約書を紙で月4通作成している会社を例にします。7号文書は1通4,000円のため、印紙税は月16,000円、年間で192,000円です。同じ4件を Digital Sign のライトプランで電子契約に切り替えた場合、費用は月額 5,500円 + 220円 × 4件 = 6,380円(税込)、年間で76,560円になります。初期費用はかかりません。

基本契約書を紙で月4通作成する場合の印紙税は年192,000円、同じ4件を電子契約のライトプランで締結する場合の費用は年76,560円 紙で月4通(7号文書) 4,000円 × 4通 = 月16,000円 年 192,000円 印紙税(消印・保管の手間は別) 電子契約で月4件(ライトプラン) 5,500円 + 220円 × 4件 = 月6,380円 年 76,560円 税込・初期費用0円。印紙税はかからない ※ 契約金額の記載がある請負契約書(2号文書)の場合、税額は契約金額によって変わる ※ 電子契約の費用には、他の契約書の送信分や利用人数による差は含めていない ※ 金額はいずれも2026年8月時点。実際の税額・料金は契約内容と利用状況によって変わる
図2: 紙で月4通作成する場合の印紙税と、同じ件数を電子契約で締結する場合の費用(税込)

この試算は、印紙税を貼っていた基本契約書を電子に切り替えた場合の数字です。契約金額を記載する請負契約書では税額が変わりますし、他の契約書もあわせて電子化すれば送信件数は増えます。自社の件数での費用は記事末尾のシミュレータで確認できます。料金の考え方は「電子契約の料金を徹底比較」でも整理しています。

フリーランスとの契約は新法の明示義務にも対応できる

フリーランス法3条1項は、業務委託の際に給付内容・報酬額などを書面または電磁的方法で明示することを義務づけている。電子契約なら契約の締結と明示を1回の送信で済ませられる。

2024年11月1日に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスに業務を委託したとき、給付の内容や報酬の額などを明示することを発注者に義務づけています。3条1項は、この明示を書面または電磁的方法で行うことを認めています(e-Gov 法令政府広報オンライン)。

つまり、法律で定められた明示事項をすべて含んだ業務委託契約書を電子契約で送れば、契約の締結と明示を1回の送信で済ませられます。契約書とは別に条件通知のメールを送る運用が不要になります。

なお、明示を電磁的方法で行った場合について、同条2項は次のように定めています。

「業務委託事業者は、前項の規定により同項に規定する事項を電磁的方法により明示した場合において、特定受託事業者から当該事項を記載した書面の交付を求められたときは、遅滞なく、公正取引委員会規則で定めるところにより、これを交付しなければならない。ただし、特定受託事業者の保護に支障を生ずることがない場合として公正取引委員会規則で定める場合は、この限りでない。」

(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律3条2項。e-Gov 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

つまり原則は「求められたら遅滞なく書面を交付する」で、ただし書きの例外は公正取引委員会規則に置かれています。同規則3条2項は、次のいずれかに当たる場合は書面の交付を要しないとしています(e-Gov 公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則)。

  • フリーランス側から電磁的方法での提供を求められて、それに応じて明示した場合
  • 定型約款を内容とする業務委託で、インターネットのみを利用する方法で契約が締結され、かつその定型約款をインターネットで閲覧できる状態に置いている場合
  • すでに同法3条1項または2項に基づく書面の交付をしている場合

ただし、上の1つ目と2つ目に当たる場合でも、電子メール等で明示したあとにフリーランス側の責めに帰すべき事由なく明示事項を閲覧できなくなったときは、例外から外れます。実務としては、フリーランス自身が電子での受け取りを希望した記録を残しておき、それでも書面を求められたときには出せる状態にしておくのが安全です。

契約書の締結とフリーランス法の明示を別々に行うと2工程になるが、明示事項を含んだ契約書を電子契約で送れば1工程で済む 契約書と明示を別に行う場合 契約書を締結する 明示事項をメール等で通知 送り漏れ・記載漏れが起きやすい 明示事項を含んだ契約書を電子で送る場合 1回の送信で締結と明示が完了 給付の内容・報酬の額・支払期日などをテンプレートに入れておく フリーランス法3条1項 書面 または 電磁的方法で明示 書面の交付を求められた ときは遅滞なく交付 (同条2項)
図3: 明示事項を契約書に含めると、締結と明示を1回の送信で済ませられる

Digital Sign で業務委託契約を電子化する

毎月同じ相手と巻き直す業務委託契約は、ひな形をテンプレート化して送るだけの運用にできる。印紙の購入・貼付・消印と、返送待ちの工程がなくなる。

毎月同じ相手と契約を巻き直す業務委託では、契約書のひな形をテンプレートとして登録しておき、相手方と金額だけを差し替えて送る運用にできます。印紙を買う、貼る、消印を押すという作業と、返送を待つ時間がなくなります。Digital Sign で送信された契約書は、送信から締結完了まで中央値で約6時間です(2026年3月〜8月に送信された契約書 4,916件を対象とした2026年9月18日時点の自社実測値。テンプレート・ファイル送信・トライアル期間中の締結を除く)。受け取る側の費用はかからないため、フリーランスに新たな負担をお願いすることにもなりません。

本記事は2026年8月時点の公表資料および法令に基づく一般的な解説です。個別の契約書の課税判断については税理士にご相談ください。

この記事のまとめ

  • 紙の業務委託契約書は、成果物の完成を約束する請負なら2号文書。7号文書(1通4,000円)は、営業者間で単価などの取引条件を定めた継続取引の基本契約に限られる
  • 電子契約で締結した契約書は課税文書に当たらないため印紙税はかからない。ただし紙を1通でも作ればその紙は課税対象になる
  • フリーランス法3条1項の明示は電磁的方法でもよく、明示事項を含んだ契約書を電子で送れば締結と明示が1回で済む。ただし書面の交付を求められたときは、規則が定める例外に当たらない限り遅滞なく交付する

本記事のご利用にあたって

本記事は2026年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務の判断を示すものではありません。実際の取扱いは契約の内容や個別の事情によって異なります。個別の判断については、税理士・弁護士・社会保険労務士などの専門家、または所轄の税務署・労働基準監督署にご確認ください。

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よくある質問

電子契約をあとから印刷したら印紙は必要になりますか?
必要ありません。印紙税は課税文書を「作成」した時点で課されるもので、電子データとして締結された契約書を控えとして印刷する行為は、国税庁の質疑応答事例の整理に沿えば新たな課税文書の作成には当たりません。印刷物はあくまで電子データの写しという位置づけです。
相手が紙で締結を求めてきた場合は?
紙で作成した契約書には、内容に応じて印紙税がかかります。自社は電子、相手方は紙という形で1通だけ紙を作った場合、その紙の1通が課税文書となります。紙で締結する必要が本当にあるのか、相手方に電子契約の受信は無料であることを伝えて再度相談するのも一案です。
準委任契約にも印紙は必要ですか?
事務処理などの役務提供だけを委託する準委任契約は、原則として印紙税の課税文書に当たりません。ただし、表題が準委任でも成果物の完成を約束する内容が含まれていれば請負(2号文書)と判定されることがあります。契約内容で判断されるため、迷う場合は税理士にご相談ください。
フリーランス新法の明示は電子契約書で兼ねられますか?
兼ねられます。フリーランス法3条1項は、給付内容・報酬額などの明示を書面または電磁的方法で行うことを認めています。電子契約で締結する業務委託契約書に法律で定められた明示事項がすべて含まれていれば、契約の締結と明示を1回の送信で済ませられます。なお、書面の交付を求められたときは、公正取引委員会規則が定める例外に当たらない限り、遅滞なく交付する必要があります(3条2項)。
過去に貼った印紙は電子契約に切り替えたら戻ってきますか?
すでに紙で作成し正しく納付した印紙税は、電子契約に切り替えても還付されません。誤って貼りすぎた場合などの過誤納については、納税地の所轄税務署長の確認を受けて還付を受ける手続きがあります(印紙税法14条1項)。個別の事情によるため、税務署または税理士にご確認ください。

執筆: 株式会社デジタルサイン

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